iPhone Xの目玉機能の1つが、Face ID(顔認証)です。この顔認証は、Touch ID(指紋認証)と比べ、データ流出の可能性が著しく低いとされる、次世代型セキュリティー認証です。しかし、日常生活でほとんど使ったことのない機能がスマートフォンに搭載されるとなっては、様々な疑問が湧いてくるはずです。
結論から言えば、できません。
iPhone XのFace IDには「Attention Awareness(注意と意識)」なる機能が搭載されています。これは、ユーザーが実際に画面を見ているかどうかをiPhone側が判断するための仕組みで、注視していると判断されれば、シーンに応じてスクリーンを明るくしたり、あるいはアラーム音(通知音)を下げたりしてくれます。
Face IDはこのメカニズムを使用しているため、ユーザーが寝ている間に、悪意ある何者かにスマートフォンを顔にかざされてロック解除されるという心配もありません。したがって、アクセシビリティからAttention Awarenessをオフにできるようですが、その場合はFace IDを使うことができない可能性が高そうです。
Appleが行ったデモンストレーションでは、少なくとも様々な人種の人々が問題なく顔認証を使えているように見えました。しかし、ニュースサイトiMoreは「どの程度うまくいくのか、実際のところは分からない」と、慎重な姿勢を見せています。
Google Photosに用いられているAIが、誤って黒人を「ゴリラ」とタグ付けしてしまう事件が過去にあったことを思えば、いかに優れた技術でも、実際に使う前から「完璧だ」と断言することは出来ないでしょう。多様性を強調するAppleにあって、まさか白人だけが認識しやすい仕様になっているとは考えにくいですが……。
今のところ分かっている限りでは、ひとつのiPhoneで複数の人間が異なるFace IDを使うことはできません。1台につき、1つのFace IDです。この点は、「指紋を追加」で指紋を複数設定することができるTouch IDとは異なります。
もしiPhoneを誰かと共有したいなら、ロック解除をパスワードで行うという方法があります。
さすがに、何から何まで瓜二つの一卵性双生児には対応していないようです。
もっとも、30,000もの赤外線ドットスキャナーを通して得た情報を、ニューラルネットワークを使って解析を行うので、ハリウッドの一流特殊メイクアップアーティストでもFace IDを騙すことはできません。Qualcommが自慢していたSamsungの顔認証や、人気アプリ「SNOW」とはわけが違います。