iPhone XとiPhone8/8 Plusは高速充電に対応し、30分間で50%までの充電が可能とうたわれています。米メディアAppleInsiderは、iPhone8に最速で充電できる方法を探すための実験を行い、その動画を公開しました。
iPhone XとiPhone8/8 Plusは、ワイヤレス充電に加えて、Appleが「30分間で50%までの充電が可能」とうたう高速充電に対応しています。
Appleは、iPhone XとiPhone8/8 Plusで高速充電をするためには、MacBookシリーズ用のUSB-C電源アダプタ、またはUSB Power Delivery (USB-PD)規格に適合したサードパーティ製の充電器が必要、と説明しています。
AppleInsiderが充電速度の比較対象としたのは、以下6つの充電方式です。
●29WのUSB-C電源アダプタ(12インチMacBook用、5,200円)
●12WのUSB電源アダプタ(iPad Proシリーズ付属品、2,200円)
●7.5Wの Belkin製ワイヤレス充電器Boost Up(6,980円)
●5WのUSB電源アダプタ(iPhone8標準付属品)
●iMacのUSB-C端子とLightningケーブル接続(1mのUSB-C – Lightningケーブルは2,800円)
●iMacのUSB-A端子とLightningケーブル接続
なお、MacBookシリーズ付属のUSB-C電源アダプタ(12インチMacBook付属の29W、13インチMacBook Pro付属の61W、15インチMacBook Pro付属の81W)の間では、充電速度に違いは見られなかったそうです。
実験は、バッテリー残量をゼロにしたiPhone8 Plusを、6つの方法で充電し、一定時間ごとの充電量をチェックする方法で行われています。
充電開始から5分後の時点で、29WのUSB-C電源アダプタを使った高速充電が9%まで充電できています。一方、7%のiPad Pro用、iMacのUSB-C端子の6%、標準付属品の4%にとどまっています。
充電開始から15分後、29WのUSB-C電源アダプタは29%まで充電できており、iPad Pro用充電器の19%を引き離しています。
30分後、29WのUSB-C電源アダプタは52%と、Appleがアピールしているとおりのスピードで充電できています。一方、iPad Pro用充電器は36%、iMacのUSB-C端子が34%と続いています。同じiMacに接続していても、USB-A端子からの給電は26%にとどまっています。
7.5Wのワイヤレス充電器と5WのPhone標準充電器はともに、高速充電の半分以下となる約20%までしか充電できておらず、差が目立ちます。
実験開始から1時間後、29WのUSB-C電源アダプタを使った高速充電のバッテリー残量は80%で、前半の30分よりもペースが緩やかになっていることがグラフからも分かります。
そして、充電開始から約90分後に、29WのUSB-C電源アダプタがトップでフル充電を達成しました。次いで、iPad Pro用充電器とiMacのUSB-C端子がその15分遅れでフル充電となりました。
興味深いのは7.5Wのワイヤレス充電器の充電スピードが、iPhone標準付属の5Wアダプタと同等であることです。AppleInsiderは、現時点でiPhoneが標準付属品と同等の5Wの電力供給しか受けないように制御されているためだろう、と指摘しています。
Appleは将来のソフトウェアアップデートにより、ワイヤレス充電の充電速度を引き上げ、ワイヤレス充電器が本来持つ7.5Wのスピードで充電可能になるだろう、とAppleInsiderは予測しています。
充電速度比較の動画はこちらからご覧ください。
もし、iPhone XやiPhone8/8 Plusのために最速の高速充電環境を整えるなら、あるいはMacBookシリーズをお持ちなら、USB-PD規格の充電器を使うのがベストです。特に、最初の30分間は高速充電の効果を体感できるでしょう。
またiPad Pro用の12W充電器は、最速ではないものの実用上は十分に速いと言えますし、iMacをお持ちなら、USB-C端子にケーブルを接続して充電するのも良い選択肢です。
充電に利便性よりも速さを求める方には、少なくとも現時点では、ワイヤレス充電はお勧めできる充電方法とは言えなさそうです。
Source:AppleInsider